デスピット

グアンロンは保存状態の良い化石が見つかっています。

その化石の状況が非常に興味深く、どうやら落とし穴に落ちて抜け出せなくなり命を落としてしまったようなのです。

詳しく見てみると、深さ2mほどの穴の底に、まず3体の小型の恐竜(リムサウルス等)の化石があり、その上に2体のグアンロンが折り重なるような化石になっていました。

小型恐竜を追いかけていて一緒に落ちたか、あるいは落とし穴に落ちた小型恐竜を襲おうとしてグアンロンも落ちてしまったか……

どちらにしても不運ですね。

では1億6000万年も前のジュラ紀の中国に落とし穴を掘ったのは、いったい誰なんでしょうか。

その犯人はマメンチサウルスだと考えられています。

火山灰や泥が積もった地面の上を体重20トンとも言われるマメンチサウルスが歩くと「液状化現象」が起こります。

液状化現象は地震の時に聞く言葉だと思います。

地面に衝撃が加わることで土が下へ沈み、地中の水分が上がってくることで、地面がドロドロになってしまうんですね。

当時の地表には、こうした死の落とし穴「デスピット」が無数にあったようです。

そして、そこに落ちた恐竜は誰にも荒らされることなく、綺麗な形のままで化石になるのです。

それにしても、歩くだけで地震と同じ現象を起こす巨大なものから、たかが足跡に落ちて抜け出せなくなる小型のものまでいる──

恐竜はなんと幅広い生物なんでしょう。


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