大きな目

ヒプシロフォドンは「眼窩(がんか)が大きい」という特徴があります。
眼窩とは、頭蓋骨に開いてる「目が入るための穴」のことです。

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眼窩が大きいと言うことは、そのまま目が大きいと考えて良いでしょう。

目が大きいと光をたくさん取り込むことができるため、暗いところでもよく見えるようになります。
したがって、ヒプシロフォドンは「夜行性」だったのではないかと考えられています。


恐竜ではないですが、同じ時代に海を泳いでいたイルカにそっくりな爬虫類(魚竜)のイクチオサウルスも目がとても大きい生物です。

Ghedoghedo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

こちらは深海で生活していたのではないかと考えられています。
深海も光が少ないので、目を大きくしてなるべく光を取り込めるよう進化したのでしょう。



さて、現代で目が大きい動物というと、何をイメージするでしょうか。

一番極端なのは「メガネザル」ではないでしょうか。
彼らは顔のほとんどが目で、脳より眼球の方が重いのだそうです。

Sakurai Midori, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

そして彼らは夜行性です。

そう考えると「目が大きい生物は夜行性」という考え方は説得力がありますね。


しかし夜行性の生物は全て目が大きいかというと、そうでもありません。
犬や猫ももともとは夜行性ですが、メガネザルほど目が大きいわけではないですよね?
彼らはどうやって暗闇の中でものを見てるのでしょうか。

それは「タペタム」のおかげです。

暗闇の中で猫の目が光ってるのを見たことはないでしょうか。
猫の目の中にはタペタムという反射板が備わっていて、入ってきた光を反射することで光を2倍に感じることができる仕組みになっています。
そのおかげで暗い夜でも活動できるんですね。

User:Mattes, Public domain, via Wikimedia Commons


我々人間を含むサルの仲間は、大昔の昼行性だった時にタペタムを退化させました。
メガネザルはそのあとで夜行性になったため、目を大きくするしか選択肢がなかったわけですね。



さて、恐竜はどうだったのでしょうか。

・ワニにはタペタムがあります。
・昼行性の鳥にはありません。(だから鶏は”とり目”なんです)
・ヒプシロフォドンには恐らく無かったのでしょう。

以上のことを考えると、タペタムを持っている恐竜と持っていない恐竜がいそうですね。

これによって、恐竜を題材にした物語を作る時に
「暗闇に怪しく光る肉食恐竜の目が・・・」という表現ができるかどうかが決まってくるわけです。


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