進化は突然に

ダーウィンは、生物の進化は常に少しずつ起こっていると発表しました。

そして新たに現れた特徴がデフォルトとなり、もとの体とある程度差が大きくなると「別の種」ということになります。

「生殖的隔離」と言い、基本的には自然に生殖(子供を作ること)ができなくなったら別の種と判断されます。


でもちょっと考えてみてください。

例えばティラノサウルス一族の、小型だった頃から最終的にティラノサウルスに至るまでの全ての段階の化石が奇跡的に見つかったと仮定します。

その場合、どこを種の区切りにしたらいいか分かりませんよね。

化石なので交配できるか試してみることはできないし……

進化が徐々に起こっているとすると、古生物に関してはこういった点が難しくなってきます。


ちょっと話が変わりますが、生物の進化にかかわるこんなエピソードがあります。

ヨーロッパのある林に、白い「蛾(ガ)」がたくさん住んでいました。

Chiswick Chap, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

その林の木は幹が白っぽい色をしていたので、白い体色は保護色になっていました。

たまに突然変異で黒い子が産まれることもありましたが、そういう個体は鳥などにすぐ見つかってしまい子孫を残すことはできません。

ある日、林の近くに工場ができました。

すると工場からの煙で林は煤けていき、白かった木は徐々に黒くなってしまいました。

こうなると白い蛾は目立って敵に見つかりやすくなります。
逆に、たまに生まれる黒い個体の方が有利になり、子孫を残していきます。

黒い蛾の子供は黒い確率が高くなり、さらに子孫を残していくので……

何世代かたつと、その蛾は黒いのがデフォルトになりました。

Chiswick Chap, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

「白い蛾」が「黒い蛾」に進化したこのエピソードは「蛾の工業暗化」と呼ばれています。

この話で興味深いのは「進化の途中に“グレーの蛾”がいたわけではない」ということです。

このように、生物の進化は徐々に進むだけではなく、段階的にガクッとすすむこともあるんですね。


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