1965年、モンゴルのゴビ砂漠で長さ2.4mもある巨大な腕の化石が発見されました。
いろいろな特徴から獣脚類(肉食恐竜の仲間)だということは分かりますが、なにしろ巨大です。
全長13mのティラノサウルスの腕は、人間と同じく1mくらい。
ということは……単純計算すると全長30mを超える超巨大な肉食恐竜ということになってしまいます。
さすがにそれは現実的ではなく、謎の恐竜として
「デイノケイルス・ミリフィクス」と名付けられました。
デイノ = 恐ろしい
ケイルス = 手
ミリフィクス = 変わった
という意味です。
その後の研究で「オルニトミムスやガリミムスとかの仲間では?」という意見が出ましたが、結局それ以上の化石が見つからないままでした。
それから50年近くたった2006~2009年に、やっとデイノケイルスの新たな化石が発見されました。
しかし、その発見現場は何者かに荒らされたあとだったのです。
世の中には悪い人がいるもんです。
化石を見つけると、人気のある(高く売れる)頭骨や手足だけ持ち帰り、あとは捨てていくんです。
研究者は見つけた化石を大事に丁寧に掘り出して運びますが、彼らは高く売れる部分だけを切り取って持ち帰り、他の部分は破壊することがあるそうです。
このような貴重な研究材料の「盗掘」は悪質な違法です。
研究者達はどこかへ売られてしまったデイノケイルスのパーツの捜索に乗り出します。
その結果、ヨーロッパの化石コレクターが、盗掘された頭骨と手足の化石を所有していることを突き止めました。
こうしてついに全身の骨格が揃い、ディノケイルスがどんな恐竜だったのかがわかりました。
確かに体は大きいが、特に異様なほど腕が長く、背中は盛り上がり、顔はアヒル口。
こんな姿、全身の骨が見つからないと想像できませんよねw