魚や爬虫類は体を横に曲げ、哺乳類は縦に曲げるのが得意だということを説明しました。
では、恐竜はどうだったのでしょうか。
(やっと恐竜の話ができる!)
トカゲやワニなどの一般的な爬虫類は足が体の横から伸びていて、基本的に腹ばいの姿勢をとっています。
この構造の場合、体を左右に曲げないと手足を前に出すことができません。
一方で恐竜は足がまっすぐ地面に向かって伸びています。
これは哺乳類と似た形状であり、恐竜の大きな特徴のひとつと言われています。
2億年ほど前、恐竜はワニとの共通祖先から分岐し、この脚の構造を進化させて、高速で走れるようになりました。
また、体をくねらせる必要が無くなったため無駄なエネルギー消費が減り、呼吸もしやすくなりました。
おかげで効率的に遠くまで移動できるようになって、世界中で大繁栄する事ができたのです。
以上のように、恐竜は他の爬虫類ほど体を左右にくねらせることなく移動できていたことが分かります。
では哺乳類のように縦方向の動きが得意だったのでしょうか。
恐竜史上一番首が長いとされているのはマメンチサウルスです。(本館2階のアジアフロアに展示中)
以前これらの首の長い恐竜は「他の恐竜が届かないような高い位置の葉を食べるために首が長くなった」と考えられていました。
しかし首の骨の関節の構造を調べると、左右に振ることはできるが、上下にはあまり動かせなかったようです。
どうやら、あまり移動しなくても広範囲の木の葉を食べれるように進化したようです。
肉食恐竜で最大のスピノサウルス。
彼の特長でもある背中の帆は、背骨が高く伸びて、そこに膜が貼ったものです。
こんな帆が背中にあっては、体を前後に曲げるのは難しそうですね。
最近になって尻尾の化石が見つかり、オタマジャクシのように泳いでいたことも明らかになってきました。
アンキロサウルスをご存知でしょうか。
背中に鎧をまとい、尻尾の先にある骨の固まりを敵にぶつけて戦っていました。
この骨の固まりは尻尾の左右に付いています。
ということは、尻尾は横方向に振り回していたのが分かりますね。
これらのことを考えると、他の爬虫類程ではないけど、やはり左右方向の動きが得意そうな気がしますね。
せっかくなので恐竜の生き残りである「鳥」を観察してみましょうか。
街中を歩くハトは、顔を前後に動かしながら歩きます。
横方向動きはあまり感じられません。
アヒルやカモはどうでしょうか?
お尻をプリプリと左右に振りながら歩く姿が印象的ですね。
ここに挙げた例はほんの一部です。
是非いろいろな恐竜の骨格や、現在の生き物の動きを観察しながら、恐竜がどのように歩き、走っていたかを想像してみてください。