分類のしかた

他のパネルでも説明していますが、角竜の中のケラトプス科は「カスモサウルス亜科」と「セントロサウルス亜科」に大別されます。

カスモサウルス亜科は二本のツノが立派でフリルの周りはシンプル。

セントロサウルス亜科は鼻先のツノが立派で、フリルの周りがトゲトゲしているという特徴があります。

左:カスモサウルス亜科  右:セントロサウルス亜科

しかし例外もあります。

例えばレガリケラトプスは、二本のツノは短く、フリルの周りにオシャレな飾りがついているのでセントロサウルス亜科に似ていますが、カスモサウルス亜科に分類されています。

何を根拠に分類したら良いのでしょうか。


生物はしばしば見た目では分類できないことがあります。

例えば「ヘビとトカゲの違いは何?」と聞かれたら、おそらく「手足があるか無いか」と答えるでしょう。

しかし世の中には「アシナシトカゲ」というややこしい生き物がいます。

F Lamiot (Own work), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

名前の通り、ヘビのように手足が無いのにトカゲに分類されています。

ヘビはずいぶん昔にトカゲから別れました。
ヘビは手足を退化させ、トカゲは四足歩行のまま生きてきました。

しかし、ある時トカゲの一部が「やっぱり手足が無くてもやっていける!」と思ったのかは分かりませんが、四肢を退化させアシナシトカゲになりました。

だからといって、すでにトカゲとヘビはそれぞれ別なグループなので、四肢が無くなったからと言ってヘビになるわけではありません。

グループ分けには「見た目」より「血筋」が大事なのです。

日本人でも顔の彫りの深い人や、体の大きい人がいますが、だからと言って西洋人に分類されるわけではありませんよね。


生物界(植物でも)ではこのような「他人そら似」がよく見られます。

イルカ(哺乳類)とサメ(魚類)、モグラ(哺乳類)とオケラ(昆虫)が似ているのは良い例です。

このような現象を「収斂(しゅうれん)進化」といい、生物のグループ分けをする学者を悩ませることがあるそうです。

今のところカスモサウルス亜科とセントロサウルス亜科の区別は、頭骨の鼻のところを見て、穴があるか無いかで判断できます。

カスモサウルス亜科のトリケラトプス(左)は、鼻腔の前にもうひとつ穴が開いている。右はセントロサウルス。

しかし、もしもその特徴すら収斂だとしたら……

連続的な進化途中の化石が見つからないかぎり、どのグループから派生していったのか分からないでしょうね。

DNAが解析されれば話は別ですが、残念ながら化石からDNAは採取できないそうです。


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