水中で生活する「魚」から、陸上の「爬虫類」や「鳥類」に進化する過程で、彼らが産む卵は大きく変化しました。
一番わかりやすいのは、陸上でも乾燥しないように、硬い「殻」を持ったことでしょう。
実はこれに関連して、彼らの「おしっこ」も変化しました。
我々が生きていくためには、筋肉の元であるタンパク質が必要です。
これを分解するときに、毒性の強い「アンモニア」という物質ができてしまいます。
このアンモニアをなんやかんやして体外に排出するのが「おしっこ」です。
アンモニアは非常に水に溶けやすい性質を持っているので、魚の場合は何も気にせず外に排出できます。
また、もしも体内のアンモニアが増えてしまっても、水を飲んで薄めれば良いのです。
ところが両生類に進化して陸に上がると事情が変わってきます。
有毒なアンモニアをその辺に撒き散らすわけにはいかなくなります。
そこでアンモニアを「尿素」という毒性の低いものに変化させる術を身につけました。
尿素はアンモニアほどではないですが水に溶けやすいので、水と一緒に排出します。
普段オシッコと聞いてイメージするのがこのパターンでしょう。
さて、次に爬虫類や鳥に進化するとまた事情が変わってきます。
冒頭に書いたとおり、卵が固い殻をもつようになりました。
この「卵の中にいる間のオシッコ」をどうするかが問題です。
尿素はアンモニアよりは弱いですが毒性があります。
そんなものを卵の中にため込むのは危険です。
さらに大量の水と一緒に出さなきゃないわけですが、卵の中にそんな水はありません。
そこで、爬虫類は「尿素」をより安全な「尿酸」に変化させるようになりました。
これだと安全だし、水が無くても排出できるので、卵の中の小さなスペースに溜め込むことができるんです。
ちなみに我々の体には「オシッコをする穴」と「ウンチをする穴」があります。
さらに女性には「赤ちゃんを産むための穴」もあります。
ところが、鳥も爬虫類も穴は一つしかありません。
両生類と軟骨魚類(サメとか)も同じです。
『総排出口(または総排泄口)』といって、ウンチもオシッコも卵も同じ穴から出てきます。
道路や車のボンネットに鳥の糞が落ちてるのを見たことありますよね?
あれはウンチとオシッコが混ざって、一緒に出てきたものです。
黒い部分がウンチ、白い部分がオシッコ(尿酸)です。
我々のオシッコとはだいぶ雰囲気が違うのが分かると思います。
恐竜も爬虫類(鳥)なわけですから、おそらくあんな感じの糞&オシッコをしていたのでしょう。
ただし現代の爬虫類の中には、卵の中では尿酸、孵化してからは尿素を排出するものもいるようなので、一概には言えないですけどね。
ちなみに、我々「哺乳類」のオシッコは「尿素」で排出されます。
オシッコに関して言えば両生類と同じなんです。
では、我々はお母さんのお腹の中にいる時、オシッコをどうしているのでしょうか。
そうです。
へその緒、胎盤を介して、お母さんが受け取ってくれています。
我々の体の仕組みの中に「両生類のころから変わってない」ことがあるというのも面白いですね。