恐竜の耳

恐竜の耳はどこにあるでしょうか。
カルカロドントサウルスを例に見てみましょう。

Yoshikazu Takada from Tokyo, Japan, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

実は恐竜の頭の骨を見ても耳の穴は開いていません。
ちょっと窪んでいるだけです。

これは、恐竜に近しい生物である鳥やワニも同様です。

なぜ、頭骨に目や鼻の穴は開いてるのに、耳の穴だけこんな外れの方にあるのでしょうか。

これは、進化の過程を見ると納得できます。


恐竜より少し時代を遡って、生物が海の中にいたころの姿、つまり「魚」を見てみましょう。

魚に耳の穴はありますか……?

Ffish.asia, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

無いですよね。

そうなんです。
海の中で暮らしていた頃は耳がありませんでした。

とは言え、音が聞こえないわけではありません。
金魚の水槽をトントンってすると、逃げたり寄ってきたりしますよね?(金魚がビックリするから売ってる金魚とかにやっちゃダメですよ?)

魚も頭の内部に我々と同様に音を聞くための内耳や、平衡感覚を司る三半規管などがあります。

ただ、そこに繋がる外からの穴がありません。
音は聞こえるけど、音色までは分からないと言われています。



さて、上の魚の写真を改めてよく見て下さい。
耳がない代わりに、我々には無い穴がありませんか?

ちょうど目の後ろあたり……



そう「エラ」です。

普段フタが閉まってるので分かりにくいかもしれませんが、これは口から入った水が出るための穴です。

察しのいい人はもう気づいたでしょう。

ご存じの通り、エラは水中で呼吸をするために必要な器官です。

陸上に上がったらエラは必要なくなります。
これが現在の我々の「耳の穴(外耳道)になったんです。

高い所に行って耳が変になったとき唾を飲み込むと治りますよね?海やプールで泳ぐとき、鼻をつまんで「ん!」って水抜きしますよね?

これらは耳と喉が繋がっている証拠です。

音を聞くための耳が喉に繋がっている必要なんてありませんが、これは耳がエラだったころの名残りなんですね~。


つまり、耳はそもそも顔のパーツではなかったんです。
どちらかと言うと首のパーツです。(魚に首無いけど)

だから頭骨に耳の穴は開いてないんです。



さて、生きていた頃の恐竜の耳の穴はどんな感じだったんでしょうか。

現代の鳥やワニを見ると、ただそこに穴(隙間)が開いているだけです。

鳥とワニに共通する特徴は、たいてい恐竜にも当てはまる特徴です。(恐竜は“ワニよりの鳥”ですから)

おそらく恐竜には我々のような耳たぶ(耳介)や、いわゆるケモミミ的なものはなかったと思われます。

そういうのがいても可愛いですけどねw

鳥にも「ミミズク」というのがいるので、そのくらいはいても不思議じゃないかもしれませんね。
(ミミズクの耳は飛び出した羽毛です)

Kamil.Corrections: Piotr_J, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons


ちなみに恐竜はどのくらい耳が良かったんでしょうか。

鳥は様々な声でコミュニケーションをとります。

一部の恐竜も鳴き声でコミュニケーションをとったとされているので、それなりに耳が良かったんじゃないでしょうか。


様々な恐竜の鳴き声が飛び交い、巨大恐竜の足音が響く。
遠くでは火山が噴火していて──

恐竜達は、その耳でどんな音を聞いていたんでしょうね。


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