地上説と樹上説

鳥のような恐竜「始祖鳥」
彼らはどんな生活をしていたのでしょうか。

実は立派な翼を持っているのに、どうやら羽ばたくことはできなかったようです。

現在の空を飛ぶ鳥達は、力強く翼を動かす為に立派な胸筋を持っていて、基本的にみんなハト胸です。

【鳥類の胸筋が付く骨(竜骨突起)】
I, Toony, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

しかし始祖鳥には、その筋肉がくっ付く為の胸の骨『竜骨突起』が無いんですね。

そこで、現在のモモンガのように「木の上で生活していて、必要な時はそこから滑空ていたのではないか」と考えられました。
それなら羽ばたかなくても翼を使えます。


しかし、彼らの化石が見つかった場所には高い木が無かったことが分かってきました。

さらに、足の構造が樹上生活に向いていません。

現在の樹上生の鳥の足は、前向きの指と後ろ向きの指があって、枝をしっかりと掴めるようになっています。

【一般的な鳥の足】

しかし始祖鳥の足は他の二足歩行恐竜と同じ構造で、明らかに走ることに向いています。

手を使って木に登っていた可能性もありますが、見つかった化石を見ると爪がすり減って無かったので、この可能性は薄いと言う人もいます。


では、もし地上で生活していたのだとしたら、立派な翼は何のためにあるんでしょうか。

実は私、以前ニワトリやアヒルを飼っていたことがありました。

彼らは空を飛ぶことはできませんが、急いで走るときにバサバサと羽ばたくんですよね。

もしかしたら始祖鳥も、餌の昆虫を追いかけたり、敵から逃げる時にダッシュするために翼を進化させたのかもしれません。

「翼」=「空を飛ぶためのもの」というのは人間の思い込みなのかもしれませんね。


これは始祖鳥に限った話ではありません。

恐竜が鳥に進化したことは分かっていますが、最初に空を飛んだ鳥は「木の上から飛び降りた(樹上説)」のか、それとも「地上で助走をつけて飛び立った(地上説)」のか……

そこはまだ議論が続いています。

皆さんはどう考えますか?


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