皮骨の話をしましたが骨のように硬いけど骨じゃないものとして「爪」も代表的だと思います。
上の写真はティラノサウルスの足の化石です。
指先に鋭い爪がついていますよね。
我々の指先にも爪はありますが、だいぶ形態が違うのが分かると思います。
我々の爪は指先の上面に貼りつくように生えています。
それに対してティラノサウルスを見てみると、指の一番先端の骨(末節骨)がそのまま爪になっています。
我々の指に当てはめてみると、指先から骨が突き出している状態ですね。
恐竜も現代の生物も同じですが、爪には大きく3つの種類があります。
まず我々の爪の種類は「扁爪・平爪
(ひらづめ)」と言います。
英語だと「Nail(ネイル)」ですね。
自分の指を見ていただければわかる通り、指の先端上部に平らに貼りついています。
このタイプの爪は、霊長類特有の物です。
邪魔じゃない程度に指先をガードすることにより、物を掴んだり、触ったものの質感を確認するのに役立っています。
もっと爪が大きくなり、走るのに適した構造になったものが「蹄(ひづめ)」です。
英語だと「Hoof(ホーフ)」です。
ざっくり言えば、我々の爪を指に沿って幅広にして、分厚くしたイメージ。
牛・馬・豚など足が代表的で、彼らをまとめて「有蹄類」といいます。
恐竜でも、ハドロサウルスの仲間の前足が蹄状になっていたことが分かってきました。
最後は「鉤爪(かぎづめ)」で、英語では「Claw(クロー)」と呼ばれるものです。
蹄よりも爪が幅広になり、指先を包み込むように円錐形になったものと考えられます。
上に出てきた「霊長類」「有蹄類」以外の哺乳類、そして恐竜を含む爬虫類・鳥類など、手足のある動物のほとんどの爪がこのタイプです。
攻撃のため、木にしがみつくため、地面を掘るためなど、生活スタイルによっていろいろな形をしています。
冒頭で見てもらったティラノサウルスの足先の骨はあくまで指の骨であり、それを包み込むように爪があったのです。
つまり骨だけ見ても、生前の爪の太さや長さはわからないのです。
3種類の爪を紹介しましたが、どれも指先の皮膚が変化したものであり、主成分はケラチンというタンパク質です。
(骨とは違いカルシウムではありません)
爪と同様に、皮膚が変化してケラチンでできているのが体毛や髪の毛です。
爪も体毛も、徐々に伸びていくところなんかが共通していますね。
※図1:Ballista at en.wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
※図2:BruceBlaus. When using this image in external sources it can be cited as:Blausen.com staff (2014). “Medical gallery of Blausen Medical 2014”. WikiJournal of Medicine 1 (2). DOI:10.15347/wjm/2014.010. ISSN 2002-4436., CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
※図3:Tad102 at the English-language Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
※図4:Alex brollo, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons