示準化石と示相化石

今回は中学校の理科に出てくるお話です。

アンモナイトは恐竜よりも先に誕生し、恐竜と一緒に絶滅してしまいました。

しかし、その長い期間ずっと同じ姿だったわけではなく、少しずつ殻の形が変わっていきました。

そのため殻の形を見ると、おおよそどの時代のアンモナイトなのかが分かります。

これは大変ありがたいことで、アンモナイトの化石を見つければ、そこがいつの時代の地層なのかが分かるのです。

例えば、アンモナイトの化石の近くで魚の化石が見つかれば、それが何時代の魚なのか分かるということですね。

このように、地層が堆積した時代を知る手掛かりになる化石のことを「示準化石(しじゅんかせき)と言います。


示準化石としての条件は進化が早いことです。

極端な例を挙げれば、シーラカンスの化石が見つかったとしても、彼らは4億年近くほとんど同じ姿のまま生きているので、いつの時代のものかわかりません。

それに対してアンモナイトはとても進化(見た目の変化)が早い生き物でした。

学校の理科の教科書では「アンモナイト=中生代」とざっくり書かれているかもしれませんが、アンモナイトの中にもいろんな種がいるため、もっと細かく時代を特定する事ができます。

また、アンモナイトが世界中の海に繁栄していたということも、示準化石として優秀な点と言えます。

例えば、アメリカと日本で同じ形のアンモナイトの化石が見つかれば、それは同じ時代の地層だと言えるわけです。


示準化石と一緒に教科書で語られるのが次の話です。

アサリの化石を見つけたとしましょう。

潮干狩りを想像すると、アサリがいたということは、そこが浅瀬の砂浜だったということが想像できますね。

このように、その場所の環境を推測するのに役立つ化石を「示相化石(しそうかせき)と言います。


優れた示相化石の条件は、示準化石のそれとは真逆です。

まず、長いあいだ姿を変えずに生きていること。

アサリは現在でも生きているからこそ「浅瀬で暮らしている」というのが分かりますね。

そして生活していた範囲が狭いことも大切です。

アサリが浅瀬でも深海でも暮らしていたなら、化石の埋まってた場所がどんな海だったか特定できません。


示準化石と示相化石は名前が似ていて混同しがちです。

名前の意味としては以下のようになります。

示準化石は何時代の地層なのかを判断するのに用いられます。すなわち「そこが何時代なのかの基す化石」ということ。
標準化石という言い方もします。

そして示相化石はその場所の環境判断するのに用いられます。

「相」という字は「様子・外観」のような意味があります(人相が悪い、血相を変えるなど)。そこで「当時の外観(環境)す化石」ということです。


ちなみに英語では
示準化石:index fossil
示相化石:facies fossil
と言うそうです。

index(インデックス)は本の索引のこと、facies(フェイシーズ)は外観、そしてfossil(フォッシル)が化石という意味です。

こっちの方が分かりやすいかも?(四字熟語むずかしい……)


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