軟骨から硬骨へ

サメやエイは全身の骨が「軟骨」でできていて、軟骨魚類というグループに分類されています。
そのため、彼らは基本的に「歯」しか化石として残りません。

地球に魚が誕生したころは全ての魚が軟骨魚類であり、硬い骨は存在していませんでした。

それに対して、現在知られている多くの魚は硬い骨を持つ「硬骨魚類」であり、我々哺乳類や恐竜達は硬骨魚類から進化したと考えられています。

我々の祖先は、どのようにして硬い骨を手に入れたのでしょうか。


今から4億年以上昔の話。
恐竜が誕生するよりずっと前の話です。

海で誕生した生物は長い時間をかけて進化し、我々脊椎動物の祖先は軟骨魚類として海の中を泳いでいました。

その後、一部の魚類は敵やライバルの少ない淡水域(川)への進出を試みます。

しかしそこで大きな問題が立ちはだかります。


海水にはカルシウムを初めとするミネラルが豊富に含まれていますが、淡水にはそれがありません。

カルシウムは筋肉(心臓)を動かしたり、脳からの命令を伝えるのに使うもので、生きて行くには必要不可欠です。

海で暮らしていたころは海水からいつでも摂取できましたが、淡水で生活するとなると食べたものから吸収したカルシウムを体のどこかに貯めておかなければなりません。
(いつでも餌にありつけるとは限らないので)

そこで「カルシウムの貯蔵庫」として選ばれたのがでした。

骨にカルシウムを貯めることに成功した魚達は無事に川への進出を果たします。


そしてご存じの通り、カルシウムをたっぷり含んだ骨は固く丈夫になりました。

これが「硬骨魚類」の誕生です。

私たちは普段「骨を丈夫にするためにカルシウムを取らなきゃ」というイメージを持っていますが、実は「カルシウムを吸収・貯蓄した結果として骨が丈夫になった」というのが面白いですね。


そして硬い骨を手に入れた我々の祖先は、のちに手足を進化させ地上に上がることができました。
浮力の無い地上にで生きていくためには、硬い骨が必須の条件になります。

【最初の四肢動物とされるエルギネルペトンの復元図】
Nobu Tamura (http://spinops.blogspot.com), CC BY 3.0, via Wikimedia Commons


私たちの体は、常に骨からカルシウムを抜き取って消費しています。
食べ物からカルシウムを補給しなければ、骨はどんどん脆くなっていきます。

良い子のみんなは、カルシウムが含まれた物をいっぱい食べましょうね!


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