スピノサウルスとオウラノサウルスって似てますよね?
顔が細長くて、背中に帆があって。
分類的に近い種なら似てるのもうなずけますが、彼らはそうではありません。
恐竜を分類するとき、まず「竜盤類」と「鳥盤類」の2つに別れますが、この時点でスピノサウルスとオウラノサウルスは分かれます。
最近は「竜盤類」というグループを廃止して「獣脚類」「竜脚類」「鳥盤類」の3種に分類する動きになっていますが、どちらにしろ2者の関係は変わりません。
つまりスピノサウルスとオウラノサウルスは、まったくの他人のそら似なのです。
現代の生物でも、このように全く違う種なのに姿が似ている例はたくさんあります。
例えば、イルカやシャチは哺乳類なのにサメなどの魚類のような姿をしています。
昆虫のオケラの手は、哺乳類のモグラの手とそっくり。
フクロネズミ、フクロモモンガ、フクロアリクイ、フクロオオカミ……などは有袋類というグループですが、名前から「フクロ」を取った生物と似ています。
動物だけではなく植物にもあります。
身近なところで言うと「コーヒー」と「お茶」と「カカオ」。
これらは全く別の植物ですが、どれもカフェインが含まれていますね。
これらはカフェインを持つ植物から別れて進化したわけではなく、全く別の植物がそれぞれ生きていくために(葉を食べる虫や周囲の植物に対しての毒として)自分でカフェインという物質を生み出したというのです。
このように「全く別の動植物が、それぞれ進化した結果同じような体の構造や機能を持つ」ことはよくあります。
この現象を「収斂進化(しゅうれんしんか)」とか「収斂する」と言います。
スピノサウルスとオウラノサウルスも、あのような姿になることに何か共通の利点があったのでしょう。
恐竜には他にも多くの収斂が見られます。
例えばオウラノサウルスの歯は、ニジェールサウルスと同じデンタルバッテリーという構造をしてます。
足を見れば、肉食恐竜と同じように3本の指で歩いていますね。
このように共通点を探しながら恐竜を眺めるのも楽しいですよ。