マダガスカル島で発見された肉食恐竜マジュンガサウルス。
マジュンガサウルスをよく見ると、一般的な肉食恐竜(ティラノサウルスや、このフロアに展示されてるカルカロドントサウルスなど)に比べると、顔が短いことに気づかれたでしょうか。
これはカルノタウルスなどを含むアベリサウルス類(南半球で反映した肉食恐竜群)の特徴です。
なぜ顔が短いのでしょうか?
顔が長い方が、口が大きくなるので噛みつきやすそうですよね?
しかし、現代の生物を見てみると、キツネやオオカミなどの顔が長い「イヌ科」よりも、顔が短い「ネコ科」のライオンが百獣の王と呼ばれています。
このことから、決して「顔が短いこと=劣っている」というわけではないのが分かりますね。
マジュンガサウルスは首の骨が太く、力強い筋肉がついていたことが予想されます。
おそらく肉を食いちぎる時に「ひねり」を加えたのではないでしょうか。
そのような力のかけ方をした場合、無駄に顔が長いと頭蓋骨に負担がかかります。
この場合は、顔が短い方がうまく力をかけられたのかもしれませんね。
ティラノサウルがいた北半球とは違い、南半球の白亜紀には巨大な植物食恐竜がたくさんいました。
マジュンガサウルスたちは、自分より体の大きい獲物に果敢に飛び掛かり、肉を食いちぎって逞しく生きていたのです。
さらに、マジュンガサウルスは「共食い」をしていた証拠が発見されています。
なんと「マジュンガサウルスの歯型がついたマジュンガサウルスの化石」が発見されているのです。
もちろん100%共食いをしていたとは言い切れませんが、マダガスカル島に巨大肉食獣は他にいなかったので、恐らく共食いをしてたと考えられます。
マダガスカル島という狭い環境の中で生きていくために、同種で縄張り争いをしたのかもしれないし、同種の子供を襲おうとして母親と戦ったのかもしれません。
闘ったわけではなく、死んだ仲間を食べなければならないほど飢えていたのかもしれません。
もしかしたら、彼らと同等やそれ以上の体格の肉食獣が存在して、それらにやられた可能性も0ではありません。
いずれにせよ、彼らが過酷な生存競争に身を置いていたというのは間違いなさそうです。