スピノサウルスもオウラノサウルスも背中に帆があります。
他にも帆を持つ恐竜はたくさんいるんです。
形状はだいぶ違いますが、有名なステゴサウルスも背中に板が付いてますね。
竜脚類(四本足で首が長いグループ)では、それほど目立たないですがレッバキサウルスという恐竜は背中が盛り上がってるし、アマルガサウルスは首に帆があったと考えられています。
どうやらこのデザインは恐竜時代の一種のトレンドだったようです。
これらの帆は何使われていたのでしょうか。
【ディスプレイ説】
恐竜って現在の動物に比べると奇抜な姿をしていますよね?
(まぁ、現在の動物だっていろいろいますが)
恐竜って基本的に派手好きだったんだと思います。
つまり、スピノサウルス達の背中の帆は、鶏のトサカやクジャクの尾羽のように、生きるには全く必要なく「メスにモテるためのアクセサリー」的な役割だった可能性が考えられています。
現代の鳥は広義で恐竜に含まれるわけですが、世の中にはとても派手な鳥がたくさんいますよね?
そう考えれば、恐竜が派手好きだったのも頷けるはずです。
【ラジエーター説】
ちょっと話が逸れますが、アフリカ象の耳ってペラペラで大きいですよね。
あの構造は別に音を聞くためではないんです。
象の耳の中には血管が通っています。
耳をパタパタさせると、耳の血液を冷やすことができます。
その血液が体に流れれば体温が下がりますよね?
アフリカ象が暮らすサバンナは暑いので、そうやって体温を下げているんです。
つまり恐竜達の帆も、体の表面積を大きくすることで、体温を下げるのに役立っていたのではないかと考えられています。
パソコンを自分で組み立てられる人なら、CPUにつけるヒートシンク(放熱盤)をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
逆に寒いときは帆を日光に当てることで、体を暖めることができたでしょう。
ちなみにスピノサウルスの仲間には、スコミムスやバリオニクスがいますが、一番体の大きなスピノサウルスにだけ立派な帆があります。
ステゴサウルスの仲間も、体の小さなケントロサウルやトウジャンゴサウルスはトゲが生えていて、体の大きなステゴサウルスやウエルホサウルスは板状の帆になっています。
生物は体が大きくなればなるほど、熱がこもりやすくなります。(体積が2乗になっても、表面積は2倍にしかならない)
カップのコーヒーはすぐ冷めるけど、お風呂のお湯はなかなか冷めないのと同じです。
そう考えると、体の大きな恐竜が体温を調整するために帆を発達させたと考えると辻褄が合うような気がしますね。
他にもいろんな説が唱えられています。
ラクダのコブのように栄養(脂肪)を蓄えていたんじゃないかとか、同様に脂肪を蓄えて泳ぐ時の浮き袋にしたんじゃないかとか。
皆さんはどう考えますか?
最後に一つ付け加えておきます。
生物というのは「よし!こう進化しよう!!」と思って進化するわけではありません。
同種の中にもある程度の個性があり、たまたま生き残りやすく、子孫を残した個体の性質が後世に受け継がれていきます。
つまり、すべての恐竜の帆が同じ理由で進化したとは限らないし、理由が1つだけだったとも言い切れません。
いろんな可能性を考えてみましょう。