我々の口の中には3種類の歯が生えています。
まず中央に上下4本ずつ「前歯」があります。
この歯は薄っぺらで、物を噛み切るのに適しています。
その外側に生えているのは尖った「犬歯」です。
我々人類はほとんど使うことがなくなりましたが、獲物に噛みついて攻撃するためのものですね。
一番外側には「奥歯」があります。
てっぺんが平らになっていて、食べ物をすり潰すのに使います。
人間は色々なものを食べるので、どんなものでも咀嚼できるようにできているんですね。
さて恐竜の場合はどうでしょう。
恐竜ごとに歯の形状は違いますが、ほとんどの恐竜は前歯も奥歯も区別ありません。口の中にある歯はみんな同じ形をしています。
実はティラノサウルスの仲間も前歯4本だけ他の歯とは微妙に形が違っていて、それがティラノサウルス科の特徴だったりもするんですが、我々の前歯と奥歯ほどの差はありません。
恐竜はだいたい食べるものが決まっているので、いろんな歯を持つ必要は無かったのでしょう。
さて、前置きが長くなってしまいました。
ここに展示してあるヘテロドントサウルスは、なんと我々と同様に3種類の歯を持っています。
犬歯があるので、なんとなく哺乳類っぽい顔つきにも見えちゃいますね。
我々と同様にいろいろなもの(植物や小動物)を食べる雑食性だったのでしょう。
ちなみにヘテロドントサウルスは「原始的な鳥盤類」と言われます。
鳥盤類というのは、肉食恐竜がほとんどの「獣脚類」と、首が長くて4本足の「竜脚類」を除く全ての恐竜です。
つまり、トリケラトプス、ステゴサウルス、アンキロサウルス、パラサウロロフスなどは、全てこのヘテロドントサウルスの後輩になります。
鳥盤類の特徴は嘴があって植物を食べることです。
もともとは肉食だった恐竜が、ヘテロドントサウルスの雑食を経て、たくさんの植物食恐竜に進化していったわけですね。
我々人類も、もともと狩猟民族(肉食)でしたが農耕を学んで雑食になったので、ヘテロドントサウルスと同じです。
2億年ちかくも昔の生物と人類に共通点があるなんて面白いですね!