巨大な恐竜「竜脚類」の中で一番有名なのはブラキオサウルスでしょう。
結構最近まで「ブラキオサウルスは”北アメリカ”と”アフリカ”に住んでいた」と思われていました。
もう少し詳しく話します。
ブラキオサウルスは1900年にアメリカで発見され「ブラキオサウルス・アルティトラクス」と名付けられました。
そして1907年にアフリカのタンザニアで再びブラキオサウルスが発見されました。
アメリカでは部分的な化石しか見つからなかったのに対し、タンザニアでは完全に近い化石が見つかり、こちらは「ブラキオサウルス・ブランカイ」と名付けられます。
「アジア象」と「アフリカ象」みたいなイメージでしょうか。
しかし、研究が進むにつれて「やっぱり、これ違う恐竜じゃない?」と唱える人が出てきました。
また当時は北アメリカとアフリカの間には既に海があったことがわかり、両方に同じ生物が住んでいるのはおかしいとわかってきました。
そして、とうとう2009年に「アメリカ産のブラキオサウルス・アルティトラクスとタンザニア産のブラキオサウルス・ブランカイは別な恐竜」となり、タンザニア産の方は「ジラファティタン・ブランカイ」と名前が変わりました。
これは衝撃的な出来事です。
別にブラキオサウルスが無くなったわけではありません。
新しい恐竜が1種増えただけです。
それでは何が衝撃的なんでしょうか。
最初にアメリカで見つかったブラキオサウルスは部分的な化石だったのに対し、タンザニアで見つかったもの(後のジラファティタン)はほぼ完全な化石でした。
そこでブラキオサウルスはタンザニア産の物を参考に復元されていたのです。
つまり我々が今までブラキオサウルスだと思っていた恐竜が、ジラファティタンと名前が変わったということです。
映画に出てきたあれも、図鑑に載ってたあの姿も、我が家にあるあのフィギュアも、全部ブラキオサウルスじゃなかったんです。
極めつけはこちら。
これはドイツのベルリンにある「世界一有名なブラキオサウルスの化石」でした。
「高さ世界一の化石」としてギネスブックにも載ってるそうです。
ブラキオサウルスと言えばこの姿だったんです。
しかし、これはタンザニアで見つかった化石です。
(当時タンザニアはドイツ領だった)
この化石もジラファティタンになったんです。
じゃあ実際のブラキオサウルスはどんな姿だったかと言うと……
顔や体の所々のサイズや比率がちょっと違うんだそうです。
「その程度だったら同じ恐竜で良いじゃん!」と思うかもしれません。
しかし、ちょっとこちらの写真を見て下さい。
これ「ライオン」と「トラ」の頭骨が向かい合っている写真です。
生きてる姿を見れば、ウチの幼稚園児の息子でもどっちがライオンかすぐ判りますが、骨になっちゃうとほとんど違いがありませんね。
(ちなみに左がトラで、右がライオンです)
ブラキオサウルスとジラファティタンも、骨の違いは些細なものですが、生きてた頃の姿は結構違ったかも知れませんよ?