「恐竜」という動物は、具体的に他の動物とどう違うのでしょうか。
まず、恐竜図鑑等に必ず記載されていることですが、他の爬虫類に比べて後ろ足の付き方が特殊です。
ワニやトカゲ、カメ等、現存している爬虫類は全て体の横から足が生えています。
そのため、基本的に腹這い状態になっています。
(ヘビは、まぁ…アレですけど……)
足跡を見ると左右の足は離れていて、尻尾をを引きずった跡も残ります。
それに対して、恐竜の足は体から真っ直ぐ下に伸びているので、体がだいぶ高い位置にあります。
尻尾を引きずることもありません。
この姿勢をとるようになったために、恐竜は高速に長距離を移動する事ができるようになりました。
以上のことから「恐竜ってどんな生き物?」と聞かれたら「足が真っ直ぐ下を向いている爬虫類」と答えれば良いわけです。
……が。
実は恐竜のような歩き方をするワニが見つかったり、恐竜になるかならないかのころの生物が同じような足の付き方をしていたりします。
では「恐竜の定義」とは何なんでしょうか。
もう少し詳しく見ていきましょう。
足の付き方が違うということは、つまり股関節の仕組みが違うということです。
この図は、我々人間の骨盤(腰の骨)です。
赤い部分が大腿骨(太ももの骨)がはまっている所で、この“くぼみ”のことを「寛骨臼(かんこつきゅう)」といいます。
ほとんどの生物の寛骨臼は、このように“くぼみ”になっていますが、なんと恐竜は寛骨臼が貫通した穴になっているんです。
これはティラノサウルスの骨盤の写真ですが、足の付け根が大きな穴になっていて、関節がユルユルなのが分かるでしょうか。
これが恐竜の大きな特徴です。
次にこちらの写真を見て下さい。
これは恐竜が誕生するか否かという時代に生きていたアシリサウルスという爬虫類の化石です。
一見恐竜のように見えますが……
足の付け根をよく見て下さい。寛骨臼は貫通しておらず、くぼみになっているのがわかるでしょうか。
したがって、このアシリサウルスは恐竜には含まれません。
ということで、「恐竜とはどんな生物?」と聞かれたら「骨盤の寛骨臼が貫通していて、後ろ足が真っ直ぐ下に伸びている爬虫類」と答えてあげて下さい。
ただし、アンキロサウルスのようにさらに進化した結果、寛骨臼が再び塞がってしまった恐竜もいるので「……と、そこから進化した生物達」って付け加えてあげれば完璧かと思います!