2004年、北海道のむかわ町というところで、とある化石愛好家が奇妙な化石を見つけました。
初めはワニの化石かと思ったようですが、ちょっと変わった形をしていたので北海道の穂別博物館に寄贈することに。
それを受け取った館長は、その化石を「首長竜」のものと判断しました。
博物館には同様の首長竜の化石が大量に保管されていたので、それらと一緒に収蔵庫に保管されてしまいました。
それから7年後──
その博物館に首長竜の専門家「佐藤たまき准教授」がやってきました。
恐竜に比べると首長竜は人気が低いので、表に展示されるよりも収蔵庫に保管されていることが多くなります。
佐藤先生は、収蔵庫の化石目当てで全国の博物館を回っていたそうです。
そして、冒頭の化石に出会います。
クリーニング(化石に付いた石や土を取り除く)作業をしていると「これは首長竜じゃない」ということに気づきます。
ここから北海道大学の「小林快次准教授(現在は教授)」へ連絡が行き、のちに日本中の恐竜ファンが大興奮するストーリーに展開していきます。
化石を確認した小林准教授は「これは恐竜のしっぽ」と断言。
さらに発掘現場を確認し、まだ続きが埋まっていることを確認。
そして「このまま掘り進めば、しっぽ以外の化石が出るはずだ」と予言しました。
当時の日本は海の底でした。
しかも波の影響を受けないほどの深い海。
こんなところに、陸上で暮らしていた恐竜の尻尾だけが落ちてるはずがない。
津波か何かで流された恐竜が、海の生物に食べられる前に海底のドロに埋もれ、そのまま化石になった可能性が高い。
そうなれば全身骨格が見つかる可能性もあります。
化石が見つかった北海道のむかわ町は、小林先生に説得されて総額6000万円の発掘費を用意。
小林先生をリーダーとして、北海道大学の学生や博物館の学芸員、ボランティアによる本格的な発掘が始まりました。
その結果──
なんと総体積の80%もの全身骨格が発掘されました。
これは日本で発見された化石としては最も完成度の高いものになります。
しかも、いろいろな特徴から「新属新種」の恐竜であることがわかりました。
全長8m、体高4m、ハドロサウルス科で「エドモンドサウルス」に近い恐竜です。
発掘現場から「むかわ竜」と名付けられ、「ダイナソー小林(小林快次先生のニックネーム)」の名とともに、日本中で大ニュースとなりました。
これが、のちに「カムイサウルス・ジャポニクス」という学名が付けられた恐竜の発見エピソードです。
恐竜時代の日本は海の底だったので、日本で恐竜の化石を見つけるのは難しいと思われていました。
しかし1億8600万年間も続いた恐竜時代の中で、太平洋に流された恐竜が今回のカムイサウルスだけなはずありません。
そして流された恐竜が、潮流の関係で日本に辿り着く可能性があると証明されました。
つまり、今皆さんが立っている場所の地中深くに、恐竜の化石が横たわっている可能性があるということです!
いやぁ~!ワクワクしますね!!
地元民だけどこんな面白い話があったとは知りませんでした…ロマンがあっていいですね!
地元……羨ましい!
これからもどんな驚きが待っているか楽しみですね♪