「爪」は骨ではなく、皮膚から進化したもので、体毛に近いということを書きました。
では、体の中で一番固いパーツと言われる「歯」はどうでしょうか。
昔むかし、恐竜が現れるよりもずっと昔。
まだ生物は海の中にしかいませんでした。
ちょっと想像しづらいかもしれませんが、この頃の魚はまだ
「あご」がありません。
実はこのタイプの魚は今でも残っていて「無顎類」と言います。
しばらく暫くすると、あごを持つ魚が誕生しました。
まだ歯は持っていませんが、口を開閉できるようになったことで、獲物を逃がすことが減り、食事が上手になりました。
さらに進化して生まれたのがこんな魚です。
板皮類と言われるグループの魚です。
実はここまでの魚は骨もありませんでした。
驚くことはありません。
現代のサメも骨はなく、体は軟骨のみで支えています。
サメの化石は歯しか残ってないのはそのためです。
板皮類は、顔や顎だけですが硬い骨を発達させました。
体には骨がなく化石に残らないので、全身像はわかっていません。
口を見てみてください。
鋭い歯のようなものがありますが、これは顔の骨と繋がっています。
板皮類自体は滅んでしまい、現代の生物との繋がりはありませんが、歯の誕生はこんな感じだったのだと思います。
つまり――
①口周りがギザギザなやつが生まれた
②それらは咥えた獲物を逃がすことなく、また硬い獲物も食べられるようになり、生存競争で有利になった
③それらが子孫を残す確率があがり、いつしかそれが当たり前になった
ものすごくざっくり言うと、このような流れです。
つまり歯は骨から進化しました。
そして、いつしか歯と顔の骨は別パーツになり、磨耗しても生え替わるようになっていったのでしょう。
ところで、私たちの歯は「乳歯」と「永久歯」があり、一度だけ歯が生え替わります。
ところが恐竜の歯は何度でも生え替わるのです。
サメも同様ですね。
サメの歯は根が小さくて、すぐ抜けます。
そして抜ける頃には次の新しい歯が控えています。
他の動物はどうでしょうか。
ウサギやリスなどの齧歯類(げっしるい)の歯は生え替わることなく、もともとある歯がどんどん伸びていきます。
堅いものを食べると歯がすり減って、ちょうど良い長さになるのです。
我々と同じく70年くらい生きるゾウは、6回歯が生え変わるそうです。
人間は、本来寿命が短かい生き物だったので、1回生え変われば十分だったのでしょう。
食べ物の変化や医療の進歩により寿命が延びたので、歯ももう一回くらい生え変わってくれてもよさそうな気がしますね。
(大人で歯が欠けてるのは恥ずかしいですがw)