体の大きな植物食恐竜の脳が小さいという話を書きました。
では逆に体に対して脳が大きかった恐竜は誰でしょうか。
この手の話で必ず名前が挙がるのが「トロオドン」です。
正確にはトロオドンという恐竜自体は最近無効名(いなかったということ)になってしまったので、ここで言うのはトロオドン科の恐竜の話だと思ってください。
トロオドンは映画に出てくるラプトルのような小型の肉食恐竜(雑食とも言われる)で、北アメリカで暮らしていました。
脳化指数(体に対する脳の割合)は6くらいなので、イルカと同等の値になります。
イルカは人間の幼稚園児と同じくらいの知能を持っていて、仲間と複雑なコミュニケーションをとることができ、感情を持っているとも言われています。
トロオドンも、ある程度の社会性を持って暮らしていたかもしれません。
トロオドンは恐竜時代の末期に生きていたので、恐竜の最終進化形の一つと考えられます。
つまり、もし恐竜が滅びなければ、トロオドンの脳はもっと大きくなっていったかもしれません。
脳が大きくなるとどうなるでしょうか……。
頭が重くなると、それまでのような前傾姿勢が難しくなります。
重い荷物は体に引き寄せた方が持ちやすいよね?
それと同様に、重い脳を重心に近づけるために「直立姿勢」になっていったでしょう。
そうなると、バランスをとるために必要だった尻尾がいらなくなります。
さらにバランス調整のために、(ティラノサウルスのように)手を小さくする必要はありません。
手(腕)を大きく進化させて、餌や物を掴めるようにした方が良いですよね。
このように「もし恐竜が絶滅しなければ、いずれ人間のような姿に進化しただろう」と考えた人がいました。
この写真は、そのような考えのもとに作られた「ディノサウロイド(恐竜人間)」の模型です。
これが発表されたのは1982年で、まだ恐竜に羽毛があったということが知られていないころです。
今ならもうちょっと違うデザインになるかもしれませんね。
皆さんはどんな姿をイメージしますか?